誕生日に訪問した客先 4

「お母さんはベットで寝てみたいって言ってました」
「よし、お母さんの部屋にはベットと鏡台を用意して、
 夏服や冬服を全部しまっておける部屋もつけておこう。
 ウォーキングクローゼットという部屋で、
 お母さんの部屋からだけしか入れないんだ」


「オンセンはありますか?
 お母さんはオンセンに行ってみたいって言ってます」

「普通の家には温泉はないなぁ。
 特別にお風呂をちょっと広めにしておきましょうか?
 あんまり広すぎると、お湯がいっぱいいるし、
 冬は寒いかもしれないから、ホドホドがいいなぁ」

「それでイイデス」
浴室の広さを拡大すると、部屋配置プランに無理がでてしまい、また最初っから間取り図を書き直したりする。

「ボクの部屋にカギはかかりますか?」
「鍵をかけることはできるけど、
 子どもの部屋に鍵がかかっていたら、
 お母さん、さみしいかもしれないなぁ」

「それならカギはいいです」

「ここは何ですか?」
「それは2階の部屋から外に出るバルコニーだよ。
 天気のいい日、自分の部屋の布団は、
 ここに自分で干すんだよ。
 お母さんにさせちゃいけないんだ」


「さて、コレを外から見ると・・・・・・
・・・・・・・・・・こんな感じの家だなぁ」

私が立面パースを書き上げると、平面PLAN図と見比べて、
「この窓がコレなんですかぁ? あぁ大きい窓だぁ!」
と、兄と妹で大喜びしているし、こんなに上手に家の絵を早く描ける人って初めてだって、もぉコッチが恥ずかしくなるほどの感心をしてくれたりと・・・・。
でも描けるのは家の絵だけで、似顔絵を描いてくれちゅわれても無理なんだよな。
客先で、客側から見る方向から(天地を逆転させ)パースを描く(さかさまの絵)テクニックを久しぶりに使った。
まだオレって、この描き方ができちゃうんだぁ・・・と、自分の頭を確認しながら・・・・。
2年近いブランクあったけど、描けちゃうもんだなぁ・・・・驚いてくれるのが嬉しいなぁ。

「サインしてくださいっ!!」
と言われて、いちおう一旦は拒否したんだけど、どぉしてもとネダられて、パース図に筆記体でそれっぽいサインを添えさせられたりした。

「それじゃぁ特別に、ココの壁には暖炉も用意してみようか?
 オジサンならではの特製暖炉で、
 冬は家の中を暖める暖炉なんだけど、
 夏には家の外側で使える両面遣いができて、
 庭でバーベキューもできちゃうんだ。
 妹さんは、まだ小さいので暖炉で遊んじゃ駄目だけど、
 約束できるかな?」

と言えば、ウンウン頷いている。
「お兄さんも、火遊びは駄目だよ」
と言えば、こちらもウンウン頷いているので、平面に暖炉位置を示し、立面にて煙突を描き添える。

「お母さんも揃った時だけしか使えない暖炉だ。
 家族みんなでいる時間に、
 この暖炉の前に集まってトランプをしよう。
 内側の扉を閉じて、外からも使える設計にしておくから、
 天気のいい日の夕御飯は、外でイカなんか焼くと、すごく美味しい。
 オジサンの家には外に置いてあるだけなんだけど、
 イカの燻製なんか凄く美味い!
 (
参照【燻製・石釜機能を充たすバーベキューセットその2】
 家の中でイカを燻製にすると、凄く臭いので、必ず外でしてね」
と、暖炉の詳細図を別途スケッチで示したり、煙の流れを教えたりする。

「ものスゴク気に入りました!
 コレでおねがいします」

とのコトであったが、
「お母さんの要望を聞いていないから、
 コレでは駄目なんだ。
 オジサンだって、こんな家に住んでみたいけど、
 絵を描いているだけで、住んでいるのはもっと小さい家だよ。
 いろんな人に仕事をお願いしなくっちゃ建たないから、
 お金だって、いっぱい用意しなくっちゃいけない。
 19歳と10歳だったら、あと20年も30年も先だろうなぁ。
 それまで、みんな健康で仲良く暮らしていたら、
 もっと凄い家に住んでいるかもしれないし、
 このままの家に住んでいたって、
 自分たちで暖炉を作ったりできるようになるよ」

と、本格的な設計は勘弁してもらう。

「今住んでる家だって、庭も広いし素敵だよ。
 綺麗に掃除して、整理整頓して、
 長く住めるように工夫だってできる。
 バーベキューだったら、お兄ちゃんなら、
 ブロックとか組んで作れるはずだよ。
 オジサンも作ってみたよ」
(参照【燻製・石釜機能を充たすバーベキューセットその1 】
と言えば、妹さんが「家は作ってもらわなくても我慢するから、バーベキューがしたい」と言い、お兄さんも「作ってみたい」と言うので、一度お母さんに相談してみようというコトになった。
その時は手伝いに来ることも約束した。
結局お母さんは2時間待っても帰ってこなかった。

その場で描いたスケッチは5枚ぐらいだったけど、全て欲しいとのとで、原図のままプレゼントしてきた。
私の誕生日に現物をプレゼントしてきたのは私の方だったのだけど、久しぶりに感心されたり驚かれたり褒められたりと、そぉいったモチベーションを貰ったよぉな気持ちがして、もっとイイ図面を描きたい、もっと役立つと喜ばれる知識や技術を習得したいと感じさせられた。
社内でも「どぉせ鬱だって評判なんだし、わざわざ出すぎた真似する必要もない。これをしようって企画を立案するのも仕事増やすだけだし、この調子で行ければ無理することもない・・・」ってな具合で、ヤル気の起こらない、感じさせない日々だったけど、こんな気持ちにだってなれるんだな。
そんな気持ちは、いつも2・3日経つと薄れちゃうんだけど、ぜんぜん感じられない日々より幸せだ。
そんな風に思える仕事が月に1度できれば、やがて2週に1度ぐらい味わえて、やがては毎週感じられるようになれるかもしれないって感触があった。
そぉなったら、鬱だなんて言ってられなくなるんだろうな。
この感触を大切にしたいと思った。
お客様の年齢なんか関係なくって、とにかく私に興味を抱いてもらえること、私の仕事に関心を持っていただけることは、嬉しいことなのだということ。
振り返って考えれば、その場の流れとはいえ、私のしたことは、こちらのご家庭にとって「本当に余計なお世話!」なことだった。
自己満足の世界でしかないんだけど、そういう自己満足っぽい気持ちも、最近じゃコノBLOGを書いて、コメントで褒められたりしてイイ気分になっちゃうぐらいでしかなかった。
仕事っぽいコトをして、自己満足っぽい気持ちを抱けたっていうのは、そぉいうプレゼントが誕生日に降ってきてくれたんだ。

週が明けてからお電話をいれれば、私の書いた簡易な手書きの平面スケッチやパース(私の特製サイン入り)と、私が今まで設計した建築実例写真を持って、お兄さんは喜んで施設に戻っていったと、お母さんより御礼をいただいた。
もっとも、「住宅を建替えるなんてことは、全く予定にないので、申し訳ない」とのお詫びもいただいた。
元よりそんな期待は、まるで抱けるよぉな状況じゃなかったので、
「ぜんぜん構いません。
 お子さん達が喜んでくれるので、
 建築ってこんな仕事だよって、例を見せただけなんです。
 お子さん達にも無理っぽいことは伝えてきたつもりです」
とお答えした。

バーベキューはそんなに本格的なものは必要なさそうだという冷静なお母さんの判断が下されたようで、私がブロックを積み上げたり、センメトのコネ方を指導するために再びお伺いする必要はないとのことだった。
でも、今度お兄さんが家に帰ってくる週末に、家族でホームセンターにバーベキューセットを買いにいって、庭先でやってみるとのお話だった。
「そぉですね。
 2980円ぐらいから売ってると思います。
 慣れてないなら、炭と一緒に着火剤も買った方がいいでしょう。
 今の季節は日が暮れるのも早くなってきているので、
 午後3時頃には火を熾しておきたいもんです」

とアドバイスしておいた。

テーマ : うつ病(鬱病)、メンタルヘルス - ジャンル : 心と身体
この記事へのコメント
心にしみる、いい話でした・・・
お誕生日おめでとうございます!

最後の、バーベキューのアドバイスまで、もん吉さんの心配りのきめ細かさに、感動です。
たとえ仕事につながらなくても、お互いに暖かい気持ちになれて、よかったですね。
それをブログで拝見したワタシも、暖かい気持ちにさせていただきました。
まる | URL | 2008/10/21/Tue 06:54 [EDIT]
終わった・・・・
ミニドラマのような話でした。
モンテもん吉さんは設計士だったんですね
そして、優しい
能天気 | URL | 2008/10/21/Tue 07:41 [EDIT]
イイヒトだったなんてショック!
こんなお涙頂戴の話だなんて!
もん吉さん!
あんた堕落したよ!
だ、だ、暖炉の前でトランプだなんて・・・
(T-T)
な、泣かせないでよぉぉぉ!!!
動物奇想天麩羅 | URL | 2008/10/21/Tue 22:29 [EDIT]
予想だにしなかった展開に驚きつつも、最後は丸く収まってなによりです。

モンテさんも一歩、いや二歩前に進んだ感じで僕もうれしいです!!

遅くなりましたが、お誕生日おめでとうございます!
同世代だと思われますが、今後もともに成長しましょう。
ピッピ。 | URL | 2008/10/21/Tue 23:31 [EDIT]
ホットこその毒舌だったのね
ほろりとさせないで!

ハート、熱くたぎるタイプ、
ちょっと見直したかも?

いづれにしましても、周囲の熱き声援をかもし出す才能はまちがいないと確信しました。
rainは、はなから応援サイドと決めてましたけどね^^

注:エロイネタも限度を越した時は
リンク削除しちゃいます、エスプリで表現を磨いてくださいまし♪

rain | URL | 2008/10/22/Wed 08:35 [EDIT]
この調子でイイ人のイメージが定着しそうな誤解が心配
こんな話だけ読んでしまうと
アナタ めっちゃエエ人って思わされてしまうやん!
そんなイメージ全面的に打ち出してますやん!
なんか立派な大人っぽいイメージ植え付けられそうで怖いぐらいやで!

子供に優しい素敵な人っぽく感じさせられてしまいそうや!
うちの子供、アナタに殴られてから、アナタのこと、めっちゃビビってますけど!
うちの嫁も、怖い人やって、めちゃめちゃ警戒してますけど!
T | URL | 2008/10/22/Wed 17:29 [EDIT]
コメント御礼
何かを与えたつもりで自己満足に浸っていた側が、実は何かをもらっていたように意味深に解釈し、勝手に心を奮わしているという勘違いオナニーみたいな話なので、頂戴しているコメントほどには感銘を受けていただくもんじゃないです。
こぉいう想いを抱くことと隔絶した日々を過ごしておりますので、滅多に書ける内容じゃありません。
はっきり言って「珍事」と呼んでよいでしょう。
なので、次の更新からは、また以前と同じよぉなグダグダの内容になるので、誤解してはいけないのです。


まる殿
他人からおそらく全くヤル気を感じさせないよぉな仕事ぶりの私が現実なのですが、時にはモチベーションが上がるよぉな出来事もあるというコトを記しただけなのです。
お互いに暖かい気持ちになったかドォかは、わからないです。
お伺いした先のお母さんから見れば、かなり不審な男だったと感じます。
私にとってはドォでも良いことなので、その辺り(週明けのお母さんとの電話)については端折りましたが、どぉいう人なのか?という不審な感触が電話越しにもビシビシ伝わってきており、お伺いした経緯などを詳細に説明せねばならなかったです。


能天気殿
どっちかちゅうと、心が冷たくなるよぉな内容が中心のブログですので、たまに優しそぉな部分を見せると、特別に優しさを感じる効果なんだと思います。
こぉいう辺りのポイントが、「抱かれたいブロガー>鬱の部」にて、中高年女性から絶賛される由縁なのです。
鬱と優しさをブレンドした、その配合具合が微妙で、昨日今日の鬱ブロガーでは、なかなかコノ域まで到達できないはずなのです。
またコノこなれっぷりは、ヤングなお人では、なかなか醸し出せないのです。


動物奇想天麩羅殿
特別イイヒトなんかじゃないので安心してください。
もっとも、そんなに悪い人でもないはずです。
単なる鬱。


ピッピ。殿
>最後は丸く収まってなにより・・・
この件は丸く収まるちゅうか、結果的に何もなかったので、収まるも何もないのですが、たいていの実務においては全然収まりドコロがなくて、日々呆然としているばかりです。

>同世代だと思われますが・・・・・
ピッピ。殿がお洒落なシティライフを語るに比べて、私は貧乏臭いネタしか書けない、書きよぉがない日々で、同じよぉに育ってきたはずなのにと追いつけそぉもない距離を感じますが、ピッピ。殿が歩みよっていただけているので、なんとかギリギリの関係が保てています。
共に成長していきたいのですが、ピッピ。殿がより一層お洒落親父として成長されていかれるのに、私は立ち位置が異なるため、ソッチの方向で成長するのは、かなりの無理があって悲しいです。


rain殿
>ハートが熱くたぎるタイプ・・・・
基本的に鬱なので、ハートが熱くたぎるタイプということは、けっしてありません。
よって実体の私は、見直していただけそぉもありません。

>周囲の熱き声援をかもし出す才能はまちがいない・・・・
このブログ上でチョピっとご声援っぽいお言葉を賜ることがある程度で、実生活では氷の世界で震えているばかりです。
家族がハラハラして見守ってくれているのと、多少チラホラと声をかけてくれる友人・知人がいる程度です。
メンタル弱者にとって実社会は、些細な事象であっても過大な心労を呼ぶこと多しで、冷徹極まりなき惨状です。
ギリギリの精神状態を保つが精一杯で、仕事上で他者の面倒を見るよぉな余裕もなく、よって応援いただけることも少なき人間関係の中を流されるがままに漂うばかりです。
ネット上だけではなく、なんとか実生活面での熱きご声援を切望している状況です。

>エロいネタも限度を超した時は・・・・・
次の更新ネタは、ちょっぴりエロ要素を含んでいますので、もぉリンクはずしておいてもらった方が良いかもしれません。

得難いリンク先様だった・・・・・・。


T
>イイ人のイメージ・・・・・・
君のコメントが書き込まれたことで、そのイメージは完膚なきまでに砕け散ったと思われる。

君のコメントを読むまでは、皆さんより頂戴したコメントからして、おそらく七合目ぐらいまで到達してしまったよぉな感触を得ていたが、一瞬にして地に落ちたどころか、地底に潜りそぉな勢いだ。
現在は太平洋プレートの最低部まで凄いスピードで沈下していき、落ち着いた先のマリアナ海溝からさらに、フィリピン海プレートの下に潜り込んでしまいそうだ。

再浮上は叶うのでしょうか?
モンテもん吉 | URL | 2008/10/23/Thu 05:46 [EDIT]
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